ムヒカ大統領の伝説のスピーチ日本語全文と来日名言が心に響く。

テレビ

ホセ・ムヒカ前ウルグアイ大統領(80歳)が来日しました。

世界で最も貧しい大統領として知られるムヒカ前大統領の名前が知れ渡ったのは、2012年の国連環境会議での演説でした。

後に伝説のスピーチと言われるそのムヒカ大統領の演説がテレビ「Mr.サンデー」でノーカットで放送されていたので書き起こししてみました。

来日先で話された言葉や名言の書き起こしもしてみました。

ムヒカ前大統領の伝説のスピーチ日本語全文書き起こし

この場に出席されている世界各国の代表の皆さん、ありがとうございます。

お招きいただいたブラジル国民、そして大統領閣下に感謝します。

これまでに発言された全ての方々が表明された誠意にも大いに感謝いたします。

いち国家指導者として、貧しい人々のための取り決めづくりに仲間として共に参加することを表明いたします。

しかし私たちにもいくつか声高らかに質問をすることをお許し願いたい。

今日の午後ずっと、私たちは「持続可能な発展」と「膨大な数の貧困者対策」を話し合ってきました。

けれど、私たちの本音は何でしょう?

今の発展を続けることが本当に豊かなのでしょうか?

質問させてください。

もしドイツ人がひと家族ごとに持っているほどの車を、インド人もまた持つとしたら、この地球はどうなってしまうのでしょう?

私たちが呼吸できる酸素は残されるのでしょうか。

もっとはっきり言いましょう。

例えば、最も裕福な西側諸国と同じようなレベルで、70億、80億の人々に消費と浪費が許されるとしたら、それを支えるだけの資源が今の世界にあるのでしょうか?

それは可能なのでしょうか?

それとも別の議論が必要ですか?

今のこの文明をつくったのは私たちです。

私たちは市場と競争社会から、文明という落とし子を生み出し、物質面での驚異的な進歩をもたらしました。

そして市場経済は市場社会をつくりだし、それを世界規模に拡大してしまいました。いわゆるグローバリズムです。

そのグローバリズムを、私たちはコントロールできていますか?

逆にコントロールされてはいないでしょうか?

こんな残酷な競争で成り立つ社会で、「みんなで世界を良くしていこう」なんて議論が、本当にできるのでしょうか?

私たちは本当に仲間なのですか?

私は今回の会議を否定するために言っているのではありません。

違います。逆です。

我々が今挑戦しようとする目の前の巨大な困難は、決して環境問題ではなく、明らかに政治の問題なのです。

人類は今消費社会をコントロールできていない。

逆に人類のほうがその強力な力に支配されているのです。

我々は、発展するためにこの地球上にやってきたのではありません。

幸せになるためにやってきたのです。

人生は短く、あっという間です。

しかし、その人生こそが何より価値あるものなのです。

余計なものを買うために、もっともっとと働いて人生をすり減らしているのは、消費が「社会のモーター」となっているからです。

なぜなら消費が止まれば経済がマヒしてしまい、経済がマヒすれば不況というお化けが我々の前に姿を現します。

しかし今この行き過ぎた消費主義こそが、地球を傷つけ、さらなる消費を促しています。

商品の寿命を縮め、できるだけ多く売ろうとする。

今の社会は1000時間もつような電球はつくってはいけないのです。

本当は10万時間、20万時間ももつ電球はあるのに、そんなものはつくらない。

なぜなら我々はもっと働き、もっと売るために、「使い捨て文明」を支える悪循環の中にいるからです。

これは政治問題です。

我々は今までと違う文化のために闘い始めなければならない。

石器時代に戻ろうとは言っていません。

このままずるずると消費主義に支配されるわけにはいかない。

私たちが消費主義をコントロールしなければならないと言っているのです。

ですから私は、これが政治問題だと言いました。

とても謙虚な思いからです。

かつての賢人たち。エピクロスやセネカ、そしてアイマラ人たちは次のように言っています。

「貧しい人とは少ししかものを持っていない人ではなく、もっともっとといくらあっても満足しない人のことだ」と。

大切なのは、『考え方』です。

だからこそ、皆さんと共にこの会議に参加し、国家指導者として、皆さんと共に努力したいのです。

私の発言は皆さんを怒らせるかもしれない。

しかし気づかなくてはいけません。

「水問題」や「環境の危機」がことの本質ではないということです。

見直すべきは我々が築いてきた文明の在り方であり、我々の生き方です。

なぜそう思うのか?

私は環境に恵まれた小さな国の代表です。

人口は300万人ほど、いやぁ、もうちょっと320万人ほどしかいません。

けれど世界で最もおいしい牛が1300万頭、また素晴らしい羊が800万から1000万頭。食べ物、乳製品、そして肉の輸出国です。

国土の90%が有効に使えるほど豊かな国なのです。

だからかつて私の仲間たちは8時間労働のために闘い、ついには6時間労働を勝ち取った人もいます。

しかしそうなったら今度は仕事を2つ持つようになりました。

なぜか?たくさんの支払いがあるからです。

バイクやマイカーのローンを次から次へと支払っているうちに、私のようなリウマチ持ちの老人になって人生が終わってしまう。

そして自分に問いかけるのです。これが私の一生だったのかと。

私が言っているのは基本的なことです。

発展は幸せの邪魔をしてはならない。

発展は「人類の幸せ」「愛」「子育て」「友達を持つこと」、そして「必要最低限のもので満足する」ためにあるべきものなんです。

なぜなら、それらこそが一番大事な宝物なのだから。

環境のために闘うのなら、一番大切なのは、人類の幸せであることを忘れてはなりません。

ありがとう。

ムヒカ前大統領が来日!名言・言葉が心に響く。

4月5日午前11時、日本から遠く1万8500km離れたウルグアイから羽田空港に降り立ったムヒカ前大統領。

空港でのインタビューでは、早速、日本の若者に向けて呼びかけました。

私は聞いてみたい。日本の若者は、お年寄りたちより幸せなのかと。イエスなのか、ノーなのか。今の日本はあまりにも西洋化してしまい、本来の歴史やルーツはどこにいってしまったのかと問いたくなる。違うかね?

ホセ・ムヒカ前ウルグアイ大統領は、1935年5月20日生まれの80歳。

2010年3月1日から、2015年2月末まで、ウルグアイ第40代大統領として満期5年間を務め、惜しまれながら退任となりました。

任期中は、大統領公邸ではなく、首都モンテビデオ郊外の質素な農場に妻と犬と住み、大統領の月収97万円から、自身の生活費は同国の平均月収程度の約10万円とし、5年間で慈善事業に5000万円以上の寄付をされたそうです。

愛車は1987年型のフォルクスワーゲン・ビートル18万円相当で、もちろんムヒカ前大統領自身が運転します。

過去、アラブ人の富豪から愛車を100万ドルで購入したいと申し出を受けたそうですが、友人からの贈り物だったため、売れば友人を傷つけることになるとして断ったそうです。

大統領専用機なんて、もちろん持たないため、国際会議へはエコノミークラスで行くか、隣国の大統領機に乗せてもらうことが多かったそうです。

大統領退任後は、ウルグアイの子どもたちの教育に余生をささげる予定で、自らの敷地に農業学校を建てて、子どもたちに花の栽培などを教えるのだそうです。

Mr.サンデーの取材で、この先の夢・目標を効かれたムヒカ前大統領はこう答えています。。

私がいなくなった時に、他の人の運命を変えるような若者が残るように貢献したいと思っています。

本当のリーダーとは、多くの事柄を成し遂げる人ではなく、自分をはるかに超えるような人材を残す人だと思うから。

それでは、ムヒカ前大統領の来日のスケジュールを追って、名言・言葉を見ていきたいと思います。

4月6日午前11時半、東京・飯田橋での出版会見にて、

人間は1人では生きられません。

エゴイズムは競争を生み出し、科学や技術の進歩をもたらしました。だが、同時に危険なほどの欲望も生み出したのです。その欲望は全てを破壊しかねません。

私達は地球上の全ての人々が生きていけるだけの資源を持っているんです。それなのに私達は、地球に「借金」をしている状態です。

こんな愚かな間違いをしないよう若者に伝えなければいけない。

4月7日午後5時、東京・府中市、東京外国語大学にて、

若い皆さん、皆さんには2つの選択肢があります。ひとつはただ生まれたから生きるということ。もうひとつは、私達自身の人生を操縦することです。

あなたが何かを買おうとしたとき、それはお金で買うのではありません。お金じゃないんです。そのお金を得るために費やさなければならなかった人生の時間で買っているのです。

例えばスーパーマーケットに行けば、色々な物を買うことが出来ます。しかし、人生の『歳月(としつき)』を買うことは出来ません。

2年ごとに車や冷蔵庫を買い替えて一生ローンを払い続ける。家が小さくなるからもっと大きな家を買わなければいけなくなる。それでも足りなくて違う家がどんどん必要になる。それが社会の仕組みなんです。

買って買って買って物を買い集めていく「儀式」に人生の時間を費やす。そんな社会なんです。

でも皆さんはここにあるものを持っています。頭脳を持っているのです。自分の人生を操縦することができます。大事なのは最低限のもので生活できるようになるということです。

それはなぜか。やりたいことに費やせる時間を確保するためです。私にとってそれは社会運動です。でも他の人にとっては、絵を描くことが大切かもしれない。あるいはサッカーや魚釣りかもしれない。木の下で横になることかもしれないし、友達と遊ぶことかもしれません。それが自由と言うものです。私達一人一人に自由がある。それはやりたいことが気ままにできる自由な時間です。

しかし、市場に言われるがままにとめどなくモノを必要とするならば、あなたはいつになっても自由にはなれないでしょう。いつになっても時間が確保できないことでしょう。あるいは、もっとひどい場合は、他人から人生の時間を盗まなければならなくなる。あなたに代わって働かせるために・・・

私は別に若い皆さんに自分に賛成してほしいとお願いしているわけではありません。違います…no..no…違うのです。自分自身に問うて一番大事なものを探してほしいのです。

人生で最も重要なことは、勝つことではありません。最も重要なのは「歩み続ける」こと。

これはどういうことなのか、それは、何度転んでも起き上がること。打ち負かされても、もう一度やり直す勇気を持つことです。

「本当に全世界が幸せになることは可能だと思いますか?」という質問に対して、

確かに私達は神ではありません。自分にとっての幸せを探してください。世界を変えられるわけではありませんが、あなた自身は変わることができるんですよ。

「家族ができたら他人より自分の家族を良い目に合わしたい。こういった自分の家族だけを良い目に合わせたい気持ちが貧困を生んでしまうのか、と思ってしまう。」という不安に対して、

恐れる必要はありません。家族がいれば家族のために闘うのは当然です。しかし、その上で、他の人のために闘うことだってできるはずです。むしろそれができれば、家族とももっと幸せでいられます。

例えば私は自分のパートナーとともに世直しに挑みました。そのため子供を持つ余裕なんてなかった。私達は小さな町に住んでいます。そこには様々な困難から学校に通えない子供達が大勢います。彼らのため、学校をつうろうと闘っています。それを国に譲ろうと思っています。つまり、本当の子供はいませんが、彼らがいる。そんな愛すべき人生なんです。あなたにもそうできるはずです。もう少し歳をとったら分かりますよ。

池上彰さんとの対談にて、

今、一番欲しいものは?とのアンケートで、日本人の1位が「時間」であったことに対して、

何のための時間でしょうか?

問題は何のために時間を使うのか、ということです。

何をする時間が欲しいのですか?

子どもと過ごす時間?家族と過ごす時間?友人と過ごす時間?あるいは自分の人生を生きる時間ですか?

それならOKです。

それとも、もっと働いてもっとお金を稼ぐための時間が欲しいのですか?

それは消費社会に支配されています。

人生は一度きりで、瞬く間に過ぎていきます。人間としての時間をどう使うべきか、人生は時計のようなものです。ぜんまいはやがて止まります。

だから何に時間を使うのか、一人一人が自分に問いかけるべきなのです。

なぜなら生きることは死に向かうことだから。

これは変えようの無い事実であり、私達の存在において、最大事なことなのです。

富が幸福をもたらすと思わないでください。

比較的豊かになると、失うことへの恐怖が生まれます。富を失うことへの恐れが。

そうするとお金があっても幸せを感じられません。失うことを恐れるからです。

これがまさに中流階級の苦悩なのです。

目標に向かって前進し戦うも者は、恐れるものがないのでとても幸福です。なぜなら希望があるから。

幸せであるということは、生きていることに心から満足していることです。

毎日太陽が昇るのを見て感謝する。

幸せとは人生を愛し、憎まないこと。

でもそのためには大義が必要で、情熱を傾ける何かが必要なのです。

日本で若者たちの投票率が低いことについて。

現状に不満があるのなら、何か行動を起こしてください。勇気を持って、新しいことを提案し、立ち上げてください。

それはあなたたちと、その後に続く世代のためにです。

皆さんもいつかは、子供や孫ができるでしょう。

考えなければいけないのは、子供や孫が生きていく世界です。彼らにどんな世界を残すのか?

・・・・・

若者は世の中を新しくする希望そのものなのです。

ただ、肉体は若くても、魂が老いておることがあります。これも危険です。

4月10日、広島の原爆ドームを訪れて、

日本に来てここを訪れないということは、日本の歴史に対する侮辱だと思います。

良心なき化学は、とてつもない悪の道具になってしまうことを私達は知っておかねばならない。「人間は同じ石でつまずく唯一の動物」なのだから。

4月10日、宮根との串揚げ屋対談で、働きすぎと言われる日本人について質問されて、

アマゾンには先住民族が住んでいる。我々の目には貧しく見えるだろう、でも彼らは貧しくなんかないんだ。独自の文化の中で幸せに生活しているんだ。

でも我々は、彼ら(先住民族)のようには生活できない。もう違う時代に移ってしまっているんだ。

だから誰もが働かなくてはなりません。全員です。働かなければ何かがおかしなことになる。

働くことは必要。それが好きなことなら尚更、精一杯やればいいと説くムヒカ氏。でもその場合、一つ忘れてほしくないことがあると言います。

必ず「何か」を残しなさい。残すんです。無駄をやめて、「何か」を残す。何か少し価値のあるものを残す。必ず残す。

「頑張って幸せに仕事をしていきます」と話す宮根に対して、

周りの人達も(幸せにして)ね。

周りの人も幸せでないと、本当の幸せというものはないと思いますよ。

お金だけじゃない。愛情や生きる喜びだよ。お金だけじゃない。

ムヒカ前大統領の伝説のスピーチと、来日名言・言葉を見てもらいました。

物が溢れる豊かな時代に生まれたからこそ、もっともっと、自分の幸せは何なのかと、考えなければいけないのかもしれませんね。

消費社会であることを意識して、自分の限られた時間を最大限に幸せに過ごすためにはどうしたらいいのか、この週末にもゆっくり考えてみたいと思います。

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