9月8日の全米オープンテニス女子シングルス決勝で、大坂なおみ選手がセリーナ・ウィリアムズ選手に見事勝利して日本人初のグランドスラム制覇を果たしましたが、表彰式では、観客からブーイングの嵐が起こり、大坂なおみ選手が表情を曇らせて涙ぐむシーンが見られました。
称えられるべき優勝者の大坂なおみ選手へのブーイングが起こった理由はなぜなのでしょうか?表彰式のフル動画で振り返ってみたいと思います。
そして、ブーイングのきっかけとなったセリーナ選手とラモス主審とのやり取りの経緯をまとめてみましたが、謝罪するのはセリーナ選手のほうじゃないかとの思いがふつふつを沸き起こっています。
【フル動画】全米オープンテニスで大坂なおみへのブーイング理由はなぜ?
大坂なおみ選手が優勝した2018年全米オープンテニス・女子シングルの表彰式のフル動画がこちらになります。
表彰式の開会を告げると同時に観客席から聞こえてきたのは歓声ではなく「ブー」という低い音の合唱でした。
式が始まって30秒後、ブーイングの中で視線を落とした大坂なおみ選手は、被っていたサンバイザーで顔を隠し、左手で右の目に溢れた涙をぬぐう仕草をするのでした。
気づいた横にいたセリーナ・ウィリアムズ選手が大坂なおみ選手に近付き肩を抱き慰め、反対の男性も大坂なおみさんに何か言葉をかけています。
このシーンだけを見ると、まるで観客のブーイングは大坂なおみさんだけへ向けたもののように思いますが、実際のところはどうだったのでしょうか。
観客のほとんどが、地元アメリカのテニス界のレジェンドで、出産を経てコートに戻ってきたセリーナに対し、ホームの全米オープンで24回目の優勝をしてもらたい、という期待を持っていただろうと考えた大坂なおみ選手は、ブーイングはセリーナ選手に勝利した自分に向けられたものと捉えてしまったようでした。
でも、大坂なおみ選手の決勝でのプレーは何も恥ずべきことはなく、このブーイングは、むしろ、決勝の試合を台無しにしてしまった審判や大会関係者に向けてのものでした。
現に、この後、5分15秒頃に大坂なおみ選手が優勝者として名前を呼ばれるのですが、観客席からは歓声の嵐が聴こえて来ます。観客が大坂なおみ選手に対して反感を持っていたら、このようなリアクションは無いはずです。
それではブーイングの理由はなんだったのでしょうか。
ブーイングの発端はセリーナ選手の違反行為と暴言【動画】
ブーイングのきっかけとなったのは、第2セットのセリーナ選手と審判のやり取りで、セリーナ選手は審判から3度の罰則を受け、1ポイントと1ゲームのペナルティを課されてしまったのでした。
1.客席のコーチからコーチング(指導)をしたペナルティ(警告のみ)
2.ラケットをコートに叩きつけて壊したことでのペナルティ(1ポイントのペナルティ)
3.審判に対する暴言に対してのペナルティ(1ゲーム)
第1セットを6-2で大坂なおみ選手に取られたセリーナは、第2セットで巻き返しを図ります。
そんな第2セットの第2ゲーム中、セリーナ選手のコーチで客席にいたパトリック・ムラトグルー氏の両手の動作がコーチング(指導)と判定され、カルロス・ラモス主審から警告を受けます。
コーチングは、通常のWTAツアーの試合では認められているものの、格の高いグランドスラム(四大大会)では違反行為となっています。
第2セット1-3となった第5ゲーム、大坂なおみ選手がブレークバックに成功し2-3としたところで、セリーナ選手が怒りのあまり、ラケットをコートに叩きつけて壊してしまいます。
ラケットを壊した行為により、先にコーチングで警告を受けていたセリーナ選手は1ポイントのペナルティを課されてしまいます。
コーチングとの合わせ技でペナルティを課されたと知ったセリーナ選手は、ラモス主審に迫り、「私はコーチングなんて見てないわ。そんなずるなんてしないんだから。私をずる呼ばわりするなんて謝りなさいよ」と猛抗議し、観客もブーイングでセリーナを支持します。
その後、4-3で大坂なおみ選手にリードを許すしてしまったセリーナ選手はコートを入れ替わるチェンジオーバー時にラモス主審にせまり「嘘つき、謝れ」大坂なおみ選手に対してポイントをあげたことを「泥棒」呼ばわりしたのでした。
The US Open final umpire whom Serena Williams called “a thief” has been defended by tennis’ governing body.https://t.co/HicJgOEs7J pic.twitter.com/ZkTArIgyVQ
— BBC Sport (@BBCSport) 2018年9月10日
この暴言を受けて、ラモス主審はペナルティとして1ゲームを大坂なおみ選手に与え、大坂選手は5-3とリードを広げ、優勝まで後1ゲームとなったのでした。
観客からはセリーナ選手を支持する激しいブーイングが続く中、セリーナ選手はプレー再開を拒否して、大会審判の判断を要求します。
セリーナは執拗に審判に抗議し続けた事でペナルティーを課せられ、納得行かず審判に詰め寄り謝罪を求めるが、怒りが収まらず副審達にも訴え続ける。
試合会場はセリーナを応援する大多数のファンからの声援とブーイングの嵐で、大坂なおみちゃんにとっては精神を集中し続けるのは最悪の状況だった… pic.twitter.com/NsS5R9iXcY— MHB@US生活全然慣れる気がしない (@COOLMHB) 2018年9月9日
「これはフェアではない」と声を荒げるセリーナに同情する観客たち。
続く第9試合はセリーナ選手がキープして5-4となりますが、続いての第10ゲーム、大坂なおみ選手はメンタルを崩すことなく、優勝を果たします。
試合後、セリーナ選手のムラトグルーコーチは、コーチングをしていたことを認めています。
セリーナ選手はどうやらそのコーチングは見ていなかったようなので、コーチの行為で選手が違反を受けるのは可哀想、というのはあるようですが、我慢強苦プレーする大坂なおみ選手をどうやっても崩すことが出来ず、そのイライラをホームの観客のブーイングを味方に終始、馬時雑言を浴びせ続けたのは品格とは程遠い姿でした。
試合後の表彰式には通常であれば主審は参加するものなのですが、ラモス主審は試合の内容もあって、表彰式が始まる直前に会場を後にしたのでした。
この審判退場のタイミングが表彰式の始まりと重なり、まるで表彰式自体をブーイングしているように感じられ、会場内の雰囲気は最悪で始まりました。
そして、セリーナ側のファミリーボックスは早々にもぬけの殻になりました。— ざぶすきすきすぎ (@NHW20) 2018年9月9日
主審は警備にエスコートされて立ち去ったとのことなので、どれだけ観客から憎悪の目を向けられていたかが分かります。そんな不穏な空気の中で、表彰式は始まったのでした。
大坂なおみへのブーイングに対するネットのコメント
正直言ってセリーナは昔から嫌い。審判への行き過ぎた抗議は何度も見てきた。そして決勝。コーチのハンドサインは露骨だったし、ラケットの壊し方も異常。審判に「盗人」とまで言ってたとは。ここで性差別持ち出されても共感度0。なおみちゃんの憧れの人なのにごめん。https://t.co/8xysXUbrs9
— 雨雲 (@N74580626) 2018年9月9日
中継を見てましたが悪いのは、①コーチング(反則)をしたセリーナのコーチ②主審からの反則宣言に対して必要以上に抗議をして悪態をついたセリーナ③表彰式まで審判に対してブーイングを続けたアメリカの観客のマナーです。
大坂選手がブーイングされたわけじゃなく、ましてや人種差別でもありません。— 赤津さやたかん (@AKT_Japan) 2018年9月9日
セリーナ、ラケット折ってポイントペナルティ受けて審判を「私から点数奪った。泥棒」と泥棒呼ばわりしてゲームペナルティ。
「冗談じゃないわよ、男子選手にはこの程度の事でこんな事しないでしょ!私が女だからでしょ。不公平過ぎ!」と性差別まで持ち出して抗議する様子にガッカリ。#全米オープン— kuri (@mintof7) 2018年9月8日
あの審判は公平だった。
ドイツでボリス・ベッカーも解説でそう伝えたそうです。セリーナが抗議すべき相手は自身のコーチ。伊達さんも解説で仰っていましたが誤解を招くようなジェスチャーだったと。その後のラケット破壊、主審への侮辱発言。許される事ではないと私は思います。— ひなまるこ (@hinamarukosan) 2018年9月9日
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